うるさい朝である。
朝早くから、隣の爺さんはテレビをつけている。
音量もいつもより大きい。
というより、一晩中テレビがついていた。
起きているわけではない。
いつも以上にいびきをかいて熟睡していた。
あの音の中寝れるというのは素晴らしい特技である。
長年、テレビをつけて寝ている成果であろう。
今日は隣の爺さん、手術である。
その不安をテレビの音で紛らわせているのだろう。
朝になって、さらに音量が上がってきた。
その合間にため息つく。
腹が立つくらい大きなため息である。
そこまで、自己主張しなくてもいいのに・・
しかし、付き合わされるものにとっては苦痛である。
普段私はテレビを見ない。
ここ一週間で半年分くらいのテレビを聞かされた。
修行のような日々が続いている。
自宅に帰っていた二日間は静かであった。
それだけで幸福感を味わえる。
今の世の中では、静けさは貴重な財産なのかもしれない。
その静けさの中、ツクツクボウシが鳴いていた。
もう夏は終わりである。
子供の頃、ツクツクボウシが鳴き出すと、夏休みの終わりを感じていた。
宿題に追われながら、寂しさを感じていたのを思い出す。
もう少しで秋である。
さぁ、秋になったら何をしようか。
その頃には、退院できているだろう。
のんびり静かな公園で散歩もいい。
海に行って、夕焼けも見てみたい。
まずは静かなところでのんびりしたいものである。