まだ夜が開けない。
冷たい雨の朝である。
談話室から、真っ暗な空を眺めながら、コーヒーを飲んでいた。
明けない夜はない。
必ず夜は開ける。
そんなことを考えていた。
ICUにいた時は、夜が開けなかった。
部屋に窓がなかったからである。
寝ても、寝ても夜が開けない毎日であった。
管が喉に入っているので、話すこともできない日が続いた。
メッセージボードを使って、大きな掛け時計を持ってきてもらった。
その時計が6時を指すとき、夜が開けていた。
ふと、こんなことを思い出していた。
止まない雨はないさ・・
明けない夜はないさ・・
サザンのアロエを口ずさみながらの朝である。
11月の下旬は、私が一年で一番暗くなるときである。
この時期、人生で一番辛いことがあったからである。
そのとき、1日1日、少しずつ前に進んでいれば、必ずいいことがあると言い聞かせていた。
昨日は気分転換に家に帰っていた。
暗い気分を吹き飛ばすには、美味しいものを食べるに限る。
昼はカツ丼を食べた。
そして、夜はステーキをリクエストした。
自分では買わないような肉をカミさんが買ってきた。
カミさんも自分が食べるのだったら買わないと言っていた。
と言っても、一枚800円の輸入肉である。
昨日は子供一人、大阪のコンサートに行っていたので4枚買った。
我が家の食費の予算としては、とんでもない出費である。
結局、二枚焼いて、残りは今日の夕食にスライドした。
ステーキは自分で焼くのが基本である。
しかし、昨日は焼き方だけ指示をして、カミさんに焼いてもらった。
まず、強火で両面を焼いて、その後、弱火で焼く。
この弱火の時間が微妙である。
安い肉のときは、早めに焼いて、レアで食べる。
いい肉になると、ミディアムにする。
昨日は、ミディアムであった。