やっと念願の朝がきた。
興奮して五時から起きている。
昨晩、寝たのも十二時前。
寝不足であるが、爽やかな朝である。
血痰が出て退院が危ぶまれたが、造影CTを撮っても異常は見つからなかった。
その血痰も昨日の朝から出ていない。
なんとか退院にこぎつけられた。
主治医もどうせ週三回くるのだから、何かあったらその時にということであった。
昨日は何度も命を救ってくれたICUに挨拶に行った。
たくさんの看護婦さんがICUから出てきて喜んでくれた。
細くなったねぇと思い出話が弾んだ。
入院当初は太っていて、寝返り一つさせるにも苦労したという。
薬のために色々暴れたりして迷惑もかけた。
感謝の言葉しかなかった。
入院してから296日。
その前にも入院を繰り返しているから、ほぼ一年。
長い入院生活が終わろうとしている。
退院の時はどんな気持ちになるのだろうと思っていた。
今の気持ちは引越しの時のようである。
このからの希望に燃える気持ちもあるが、ちょっと不安もある。
完治に向けて、最初の一歩を踏み出すという感じである。
昨晩、退院したら何しようとずっと考えていた。
まずは温泉に行こう。
機械が体についているので遠出は難しいが一泊くらいなら何とかなりそうである。
飛行機を使って鹿児島もいいかな・・
船で別府、もしくは湯布院もいいかな・・
考えれば考えるほど目が覚めた。
そして、いつの間にか寝て、朝を迎えた。
さあ、退院である。
10時に傷口の手当を終えたら家に帰る。