美味しいものが無性に食べたくなる時がある。
別にカミさんの料理がまずいわけではない。
どこかのレストランで作ったものではない。
昔から食べているもので、ソウルフードと言うか、食べ慣れているのだけど、食べたいものがある。
それには微妙な味加減がある。
人に作ってもらっても、ちょっとばかり違いが出てしまう。
そんな料理である。
例えば、カレー。
子供の時から食べてるインスタントのルーを使ったもの。
しかし、いろいろな人によって味が変わる。
当然好みもある。
これを自分の好みに作ってもらうのは難しい。
自分で作るしかない。
もう一つはステーキ。
こんなもの焼けばいいだけと思うかもしれないが、この焼き方が微妙である。
どの程度焼くか・・
私はレアとミディアムの中間くらい。
味付けになると、さらに細かくなる。
これまた他人に焼かせると自分の好みにならない。
昨日は、急に魚の煮付けが食べたくなった。
初めから食べたかったわけではない。
カミさんに料理酒と味噌と食パンの買い物を頼まれた。
ついで、夜のおかずを一品買って帰ろうと惣菜売り場をうろついていた。
魚の煮付けを食べたくなり、何かいいものはないかと探した。
しかし、どうも今の自分に食べたいものは見つからなかった。
その後、魚屋の前を通った。
すると、丸々と太った鯖が売っている。
うん、これに決まりだ。
一匹を二枚おろしにしてもらった。
次は味付け。
味噌煮も考えだが、今日の気分ではない。
生姜の煮付けにする。
生姜を買い、次は料理酒。
当然、日本酒という名の料理酒を選ぶ。
これが時々晩酌に早変わりするからだ。
手頃な値段の辛口一献にした。
正月明けは我が家にはたくさんの日本酒のストックができる。
正月の宴会に飲む日本酒が残るからである。
越ノ寒梅など結構いいものが残る。
これが我が家の料理酒として消えていく。
そのため、この頃作る煮付けはうまい。
今も、今年の正月の酒の残りものがある。
森伊蔵である。
残念ながら、焼酎なので料理酒にはならない。
幸いというか、来年の正月用に持ち越している。
さて、いよいよ料理である。
まずは、魚を鍋に並べる。
そして、ひたひたになるくらいに酒を入れる。
水は一切使わない。
その中に、薄く切った生姜を一個ぶん入れる。
そして、火をつける。
沸き立つ前に、醤油を追加。
醤油は地元の醸造所で作ったものだ。
どうも大手の醤油は薬臭くて苦手だ。
地元の醤油が一番である。
当然、我が家の味噌もその醸造所で作ったもの。
少し高いが味はいい。
醤油は特に魚料理に最適である。
さすが漁師町の醤油屋さんだけある。
煮立ってくると落し蓋。
ある程度煮たところで火を止めて冷やす。
そして、しばらく時間を置いてまた温める。
二度煮をする。
そうすると、味がよく染み込むからだ。
こんな微妙なところは自分で作らないとできないところである。
出来上がった煮付け。
何が美味しいかというと、生姜がうまい。
私は、魚より、この味の染みた生姜が好きである。
特に鯖の煮付けの生姜は最高である。
今回、味噌煮にしなかったのはこのため。
生姜はうまい上に、体を温めてくれる。
寒い日には最高のオカズである。
味噌汁はホゴの出汁でとったもの。
当然、味噌は地元産。
まずいわけない。
それに加え、田舎から送ってもらった奈良漬が加わる。
鯖の煮付け、ホゴの味噌汁、奈良漬・・
最高の晩御飯である。
自分の食べたいものを自分の好みの味付けで食べる。
これこそ最高のグルメである。
もう一つの楽しみが、次の日の朝ごはん。
煮付けの煮こごりができている。
これまたうまい。
最高の朝ごはんとなる。
今から頂くこととする。