相変わらず、いびきの爺さんは早起きである。
部屋の電気がつく前から、暇つぶしに看護婦と話している。
まだ、みんな寝ているからと看護婦さんが言うと、
そんなの気にしなくていいと答えていた、
性格のボロい爺さんである。
この爺さんの元に二人の婆さんが見舞いに来た。
一人は嫁さんで、一人は爺さんの妹である。
まだ面会時間でもないのに、病室で二人は世間話である。
さらに、暴れん坊将軍を見たいからと、テレビを見ながら話す。
話の話題は医者への謝礼である。
金額は三万に決まったようである。
誰に渡すかもめていた。
手術は3人でしたようである。
一番若い医者がベットへよく来ている。
その医者に渡すかということになった。
しかし、爺さんは、あれはパシリだから渡しても意味がない。
一番年上に渡すのがいいという。
さていつどのように渡すかという話に移った。
みんながいるところでは渡せない。
退院の時はみんなが見送りをするからダメだということになった。
一人でいる時に、白衣のポケットに差し込むのがいいという結論に至った。
ドラマの見過ぎである。
類は類を呼ぶという。
まぁ、同じような年寄りが集まったものである。
話している途中、嫁さんの携帯に電話が入った。
病室から出て話せばいいものを、部屋で大きな声で話す。
ディサービスからの連絡である。
もう来ないでくれという断りの電話である。
ディサービスを断られる人も珍しい。
昨日は運が悪かった。
朝食の味噌汁の中には髪の毛が入っていて、食べる気が失せた。
午前中は、このばあさんが病室にたむろしたので昼寝もできなかった。
いびきのための寝不足に、さらに追い討ちをかけられた。
夕方、カミさんが肉まんを持ってやってきてから少しずつ運が戻ってきた。
髪の毛も洗ってもらいスッキリした。
そして、夕食。
牛丼の特盛りである。
昨日、牛丼が食べれなかったとぼやいていたら、家で作ってきてくれた。
一気に運が戻ってきた。
昨夜はいびきの音も気のせいか小さかった。
まあまあ寝れたので、寝不足も解消できている。